留学体験記

チャイルド・ライフ留学体験記

私は、2006年6月~2009年5月まで、米国ミズーリ州にある州立ミズーリ大学大学院にて、チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)を目指して留学していました。
英語なんて人並みも話せなかった私ですが、CLSになりたいというその熱意だけが背中を押し、異国の地に飛び込み、結果として素晴らしい経験をすることが出来ました。

CLSを目指したきっかけ

私は、15歳の時突然の入院を経験しました。救急で運ばれたその病院には、子どもの患者は私一人で、面会時間の制限もありました。毎日母が帰った後、寂しさと虚しさで涙が溢れ、辛い夜を過ごしていました。退院し大学生になり、「15歳の自分でも入院はこんなに辛かった。小さい子どもたちはもっと辛いに違いない」と考え始めていた頃、TVでCLSという仕事を知り「私の目指すものはこれしかない!」と感じたのでした。

学校選び

州立ミズーリ大学(University of Missouri-Columbia:MU)の大学院には、チャイルド・ライフ専攻課程(CL課程)があります。MUでは、CL課程は「人間発達と家族学学部」に所属しています。どの学部にCL課程が置かれているのかは学校ごとに異なり、教育学部や心理学部などに所属している大学が多いようです。その中で、私がMUを選んだ理由は、チャイルド・ライフだけではなく関連分野、特に家族関係や発達についても学びたいと考えたからです。MUは、発達と家族学の分野において米国内でとても高い評価を得ています。私は元々、家族・兄弟関係や幼少期の経験が発達に与える影響などに興味があったので、CLSになる為の必須科目に加えてそれらの分野も深く学べると知り、MUを選びました。

授業がはじまった

私は、本格的に大学院の授業が始まる前に、2カ月ほど大学付属の語学学校へ通いました。英語の勉強だけでなく、各国から来た留学生と知り合う良い機会になりました。語学学校で知りあった仲間とは、学ぶ分野は違いますが境遇は同じということで、留学生活を通して励ましあうことが出来ました。
いよいよ本格的に大学院の授業が始まると、最初は授業についていくのに必死です。予習・復習と欠かさず行い、理解が不十分と感じた個所は何度も教授へ質問に行きました。大学院の授業では、受動的に受けるだけでなく、自ら調べて論文を作成するという課題が多くあります。毎週何本も論文を読み、自分の考えをまとめるという作業は大変でしたが、新しい知識を吸収していくことはとても面白かったです。2学期ほど過ぎた頃、これまでの学業での努力が認められ、大学が出している留学生向けの奨学金を受け取れたことは、私にとって大きな名誉であり幸運でした。
3学期を過ぎた頃から現場での実習も始まります。病気の子どもだけに限らず、健康な子どもや障害を持った子どもたちとも関わり学ぶ為に、様々な施設での実習です。保育園での実習を終えると、次はいよいよ大学の付属病院小児科にてCLSの監督下での実習です。実際の病院現場の中で、文化の違いを目の当たりにしながら、日本文化の中でどのように活かし多職種と連携していけるか考えながら学んでいました。

インターンシップ

授業の集大成はインターンシップです。私は、ミズーリ州より車で10時間離れたオハイオ州にあるCincinnati Children’s Hospital Medical Center (CCHMC)で、4カ月間(600時間)のインターンシップを行いました。月曜日から金曜日、朝から夕方まで出勤し働きました。実習とは異なり、スーパーバイザーの監督下ながらも、スタッフの一人として働き、任される仕事も多くなります。インターン先の病院と大学の両方から課題も出され、働きながら勉強するという非常に忙しくも充実した期間でした。CCHMCは、病院組織の中にチャイルド・ライフ部門があり、約70人のCLSが勤務しています。子ども・家族中心医療の理念に基づいた医療が提供できるように多職種がチームとして効果的に連携しており、またボランティアスタッフや様々な寄付もとても充実していました。その中でインターンとして働き、経験を通して学んだことは非常に大きく、私がCLSとしての一歩を踏み出す時の大きな支えとなりました。そして、素敵な上司や仲間との出会いや子どもとの楽しい時間など、人生の中でかけがえのない大切な思い出をたくさん作ることが出来ました。

*特定の大学・大学院やインターンシップ先を推奨するものではありません。大学を選ぶ時やインターンシップの病院を選ぶ時は、それぞれの特色を十分リサーチし、自分自身の興味関心や希望する生活環境に合ったところを選ぶことが大切です。また、授業・実習・インターンシップのカリキュラムは、大学・大学院によって様々であり、その時期や方法は異なります。卒業や修了までに必要な時間も、各学校や個人によって異なります。詳しくは、それぞれの大学・大学院に直接お問い合わせください。

詳しくはBecome Certified参照